「幻の橋」と呼ばれる、タウシュベツ川橋梁の、湖上横断ツアーに参加しました。
タウシュベツ川橋梁は、北海道上士幌町の糠平湖にある、旧国鉄士幌線のコンクリートアーチ橋です。
ダム湖に沈んだ橋梁が、例年1月頃から湖面に出現し、5月~6月頃から徐々に水位が上がって秋には湖水に沈むため、「幻の橋」と言われています。
水圧や凍害による損傷が激しく、いつ崩れるかわからないと言われてきました。
ガイドさんの話では、2022年春以降にいよいよか、と危ぶまれているようです。
2020年は水没しなかった
昨年は降水量が少なかったため水位が上がらず、上部が残ったまま水没しなかったとのことです。
これは過去20年になかったことで、水位が低いために氷が薄い所があるそうです。
例年なら2月中は湖上横断が可能なのですが、今年は早々に立ち入り禁止になりそうだったので、予約日を早めなんとか間に合いました。
湖上横断ツアーの様子
ひがし大雪自然ガイドセンターさんの「湖上横断冬のタウシュベツツアー」です。
駐車場で降りてスノーシューを着け、林の中を湖に向けて歩き出します。
往復4kmほどだそうです。
林の中では休み休み、キツツキが樹木に開けた穴等の解説もして下さいました。
林を抜けるとすぐ湖です。この落差。まだ橋梁は見えません。
2つの雪の山を回り込むと、遠くに見えてきました。
ひたすら歩くのみです。
全員が到着したところで、約1時間、自由に散策OKです。
ただし橋梁は崩落の危険があり、ロープが張ってあって、あまり近づけません。
ガイドさんについていくと、ちょうど1周1時間の行程だそうなので、ついていくことに。
右端にちらりと人影が見えますが、まずはあそこまで登ります。
橋梁の下をくぐれないのでやむを得ません。
橋のコンクリート枠に石が詰まっています。
こういう工法が現代でも用いられているそうです。
裏側の損傷が激しい
橋の裏側に来ました。
裏側の方が崩落が激しいです。
わぁ!
本当にいつ崩れてもおかしくありません。
よくもってるなぁ、という方が正直な感想です。
風が吹くと、表面のコンクリートのかけらもポロポロと風に乗って散っているそうです。
上の写真の梁を右下に回り込むと、大きなヒビが入っているのがわかります。
恐らく、ここから崩れるであろうという、ガイドさんの予測です。
この冬は水没しなかったおかげで崩れていませんが、もし水没し、もう一度凍結したら危なかったかもとのことです。
それで、この冬はもったけれど、来年の春には…ということのようです。
つながったタウシュベツ川橋梁はいつまで見られるでしょうか。
「北海道遺産」に選定されており、JR北海道の「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として準鉄道記念物にも指定されてますが、保存措置はとらないそうです。
先程まで南の方が青空でしたが、曇ってきました。
山の方が暗く吹雪いているようで、もうすぐここも雪が降ります。
もう一度橋を越えます。
湖上の危険個所について
今回はガイドさんの歩く跡を、あまり広がらないようについてきてと指示を受けていました。
個人で湖上に出られる方も多いようですが、例えば下の写真の右の雪原は(足跡がありますが)川の上で、今年は氷が薄くて危険だそうです。
下の写真はガス穴と言って、糠平名物のアイスバブルのモトと言っても良い、メタンガスの多いところです。
氷が薄く、うっかり乗ると、湖に落ちます。
左のものをガイドさんがストックで穴を開けたら、「ブシューッ」と大きな音と泡が噴き出しました。
右のガス穴にあるのは「フロストフラワー」。薄氷の上にしかできない霜の花だそうです。
乗らないよう気をつけましょう。
往きに通った同じ道をたどります。木の生えている所が、満水時の湖の湖面です。
他にも旧士幌線の跡が残っている
往きにはそんなに気を留めなかったのですが、林の中に、一定の幅で左右に続く道がありました。
これは、旧士幌線の線路の跡と思われます。
タウシュベツ川橋梁が湖に沈むことになり、士幌線は湖を避けて新しく建設されたのですが、昭和62年(1987)全線廃止されました。
その廃線跡です。
ツアーを終えて糠平源泉郷に戻ると、近くには糠平川橋梁があります。
国の有形文化財に指定されているもので、歩いて行けるのでお勧めです。
他にも、第三音更川橋梁、第五音更川橋、三の沢橋等、旧士幌線の橋をめぐるツアーもあります。
興味のある方は見どころ一杯ですよ。
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