PR

【恵利原の水穴】(天の岩戸)不思議なパワーは生命力の源である水の神|三重県・伊勢志摩

記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

伊勢神宮内宮から志摩地方に向かう途中に、恵利原の水穴(天の岩戸)というところがあります。

天の岩戸と呼ばれるところが全国にありますが、ここもその一つで、有名な観光名所です。

内宮の別宮である伊雑宮の、鎮守の森の原生林の中です。

ここが、パワースポットでもあることを、ご存知でしょうか。

私は自分に霊感があるとは思えないんですけど、ここには、何かある気がします。

スポンサーリンク

天の岩戸と呼ばれる理由

恵利原の水穴は、文字通り水の湧いている穴です。

それに一見すると拍子抜けするほど小さいので、これがなぜ天の岩戸?とちょっと不思議に思ってしまいますね。

ところが水はともかく、実はこの水穴の中は、そんなに小さいものではないようです。

洞口の高さはおよそ1メートル、幅はおよそ80センチ。「背すり腹すり」と呼ばれており、奥に行くほど広くなり、入り口から10数メートルのところに高さ3メートルほどの滝があるのだとか。そこには水の神「泣沢女神なきさわめのかみ」、「美都波女神みずはのめがみ」が祭られ、「滝祭窟たきまつりのいわや」と呼ばれています。さらに付近一帯は、「高天原たかまがはら」と呼ばれ、神話と自然が交錯します。

百五銀行会報誌「すばらしき”みえ”」2013年8月発行175号より

ここはそんなに遠くない昔、地元の子供たちの探検の場でもあったようで、中に入って遊んだという方の話が同時に載っていました。

なるほど、表からは見えない、大きな洞窟があるんですね。それで、別名「天の岩戸」。

こちらは昭和60年(1985年)環境庁(現環境省)の名水100選にも指定された湧水で、一日3万トンもの水が、水穴の奥から竹筒を通って流れ出ているとのこと。

すごい量ですね。

すぐ下流の神路ダムに注ぎこみ、志摩市の5町の上水道の水源となっています。

いつ頃から天の岩戸と呼ばれるようになったのかはわかりませんでした。

世界の真珠王、御木本幸吉がこの天の岩戸の崇拝者であり、昭和6年(1931年)に参道を整備したとありますから、かなり昔からこう呼ばれていたようです。

私も何度か来ていますが、そのたびに整備がされていて、今は注意書きが立っています。

入口が小さい上に鳥居としめ縄が張ってあれば、畏れ多くて入る気にはなれないと思えますが、念のためでしょうね。

内宮の瀧祭神(たきまつりのかみ)と水穴の瀧祭窩(たきまつりのいわや)

水穴の水は10㎞北西の伊勢神宮内宮とつながっているという説もあります。

内宮の西の端を流れている五十鈴川の源流は神路山なので、あるいはそうなのかも。

そういえば、内宮の五十鈴川御手洗場のそばに「瀧祭神たきまつりのかみ」として石が祀ってあります。

ご祭神は瀧祭大神で、アマテラス大神にお取次ぎをして下さる神様です。

こちらも水の神様。

水つながりなんだ、と思ってさらに調べてみたら、内宮の瀧祭大神は五十鈴川の水神、伊勢の地の治水をつかさどる神様で、ミズハノメガミを指しているといわれているそうです。

なんと同じ神様でした!

内宮の近くにある

五十鈴川の源流をたどる訳ではありませんが、内宮を出た所から案内しましょう。

神路山というのは「山域」であって、特別な山頂がある訳ではありません。

この山域を通っているのは県道12号と32号ではないでしょうか。

そのうち、水穴に行けるのは県道32号の方です。

公共交通機関を利用しても行けます。公共交通機関の案内は最後に。

車の場合は内宮から国道23号を少し北上し、「宇治浦田町」交差点を右折。

右車線にいる方が、このあと間違えずに県道32号に入れます。

浦田橋を渡り切った所の「競技場」交差点を右折し、県道32号(伊勢道路)をひたすら南東の鵜方方面に走ります。

この時左車線にいると、スカイラインに入って鳥羽に行ってしまいますので、注意してください。

15分程山道を道なりに走っていくと、右側に「天の岩戸」という案内板と、石灯籠があります。

県道の道幅と比べると進入路が狭く、案内板も風雨にさらされていて見にくいので、うっかりすると見落とします。(2021年3月現在)

対向車に注意しながらUターンに近い角度で右折してください。

鵜方方面から来る場合は比較的わかりやすいです。

車で石の鳥居の下を通過できます。

細い道を進むと、途中やや開けた所に出るので「あれ?」と思いますが、迷わず道なりに行ってください。

狛犬のいる鳥居をくぐると、右側に無料の駐車場が見えてきます。

参道は緩やかな坂道ですが、ちゃんと整備されており、清々しいです。

祀られているのはアマテラス大神ではなく水の神

水穴の右横には「瀧祭窩たきまつりのいわや」の碑と、反対側には五重の石塔としめ縄を張った石が祀ってあります。

石には「罔象女大神みずはのめおおかみ」と刻まれています。

他にも「美都波女神」「弥都波能売神」と表記されることがありますが、同じ神様です。

イザナミ神がこの神を出産する際の苦しみの中、その尿から生まれた(そのため肥料の神でもある)とされています。

泣沢女神なきさわめのかみ」は、火の神を生んだために亡くなったイザナミ神を悲しんで泣いた、イザナギ神の涙から生まれた神です。

泣く=泉・井戸など水が湧く連想から、「新しい命の源」の水の神として神格化されたようですね。

どちらもアマテラス大神の前に生まれた姉妹神です。

天の岩戸と呼ばれていますが、恵利原の水穴に祀られているのは、イザナギ神・イザナミ神から生まれた水の神様で、アマテラス大神ではありません。

地味な神様とあなどるなかれ、神様と名がついているのはダテじゃないですよ。

水の神様が雨でパワーアップ

初めて訪れたのは、2015年6月上旬。

外宮・内宮はそれまで何度か訪れましたが、志摩地方はこの時が初めてでした。

午前中に神宮を参拝し、鵜方で遅めの昼食を予定していたので、こちらには正午くらいだったと思います。

内宮を出る頃小雨が降り始め、足元の心配などで少し躊躇したのですが、せっかくの遠出だったので、決行しました。

駐車場で降りる頃には本降りになっており、傘をさして一人で苔むした参道を登って行きました。

この時は、祀ってあるのが水の神様だとは全く知りませんでした。

周りはうっそうとした高い杉の木立。

雨のせいで、真っ昼間なのにもやがかかって薄暗く、ちょっと怖い感じです。

他には誰もいません。

もう一つ鳥居をくぐると両側に石灯籠が立っており、時々、石積みがしてあります。

写真のような遠景までしっかり見えません。

カーブした参道の行く手に小さな滝と小さな太鼓橋が見えてきました。

急な石段があり、その上にも鳥居があります。

雨の中で上の方だけ少し明るく、浮かび上がって見えます。

天国への階段か…?

普段目にすることのない、ちょっと変わった風景。

まるで臨死体験でもしているような風景に思われ、来たことをちょっと後悔し始めました。

周りがもやっていて、この世とあの世の境目のような雰囲気。

雨、雨のせいです。(それでも行くのね)

石段を上がり鳥居をくぐると、紫の幕が張られた拝殿があり、その向こうに小さな鳥居と、奥から伸びる竹筒が見えます。

ここが天の岩戸ですね。

怖さをがまんして、拝殿で一度お参り。

五重の石塔や 「瀧祭窩たきまつりのいわや」 「罔象女大神みずはのめおおかみ」の石碑も、この時は全く目に入ってません。

ただただ「怖い!」

何だか「来るな」と言われているみたい。

右手にまた少し石段があり、上社があったので、早々にお参りを済ませます。

怖さのピークです!!

先程くぐった鳥居の方を振り返ると、登ってきた石段の横に更に上り道があります。

その道を行くと「風穴」に行けるのですが、もっと濃いもやが立ち込めていて、とうてい進む気になれませんでした。

風穴までは更に数100mあるそうです。道は分かれますが猿田彦の祠もあるとのこと。

晴れていたら、間違いなく興味しんしんで進んでいたと思います。

その時はそれどころではなく、気もそぞろで急な階段を急いで降りて戻りました。

水穴や上社が怖いのではなく、あたり一帯からパワーがどわーっと押し寄せてくると言ったらよいでしょうか。

「あ”-! 怖い‼」

白い木の花の散華か

少し離れた所まで戻り、やっとほっとした頃、気がつくと雨は小降りになってました。

うっすらと陽もさしてきて、上から雨のしずくに混じって、ぱらぱらと何か降ってきます。

見ると、白い1.5~2cmくらいの木の花でした。

え、花? 花⁉ 天から花!! 散華ですかぁ⁉

しばらく見とれました。

仏教なら蓮の花ですが、こちらは神道のせいか、なかなか渋いですね。

…と、そんなことを思ったのは、宿に着いてその日を振り返った時です。

その時は、どこから降ってくるのかと、上を見たり周りを見たりして木を探しました。

高い高い木ばかりで、どこに咲いているのかわかりません。

たまたまこの花の咲く時期だったのでしょうが、先程の怖さはどこへやら。

何か、いい感じ。

一気に心が和み、また来たいと思えました。

怖いと言っても、いわゆるぞっとする嫌な感じではないんです。

ナキサワメノカミ・ミズハノメガミともに水の神。

後から調べたら「新しい生命の源」の神でした。

全国各地で出産・子育て・延命長寿・生命の再生に関わる信仰を集めているそうです。

名前も知らなかった神様のこのパワー。

私はもともと写真を撮るのが好きなので、怖いながらもこの間に何枚か撮っている筈です。

デジカメを使っていましたが、朝から撮ったのは70枚ほど。

フル充電で、いつもならまだかなり撮れたはずです。

ちゃんとシャッターも切れたんですよ。

でも、ここを含めその後宿に着くまでの写真が一切残っていませんでした。

思い出だけにせよ、ということでしょうか。

そのため、この記事の写真は、全部翌年以降のものです。

あれから何度か訪れていますが、毎回これほどではないにせよ、太鼓橋が見えてくるあたりから怖くなります。

「風穴」にも行けていません。

写真はちゃんと撮れるようになりましたけど。

散華の正体と思われる木の花はこちらです。

2016年、同じ時期を選んで再訪しました。

これは前日あたりに降ったものでしょうね。少し干からびかけています。

どうぞ花の咲く時期、散る時期に行ってみて下さい。

晴れていれば、清々しく心の洗われる、良いところです。

アクセス

所在地     三重県志摩市磯部町恵利原

        ナビは「天の岩戸」又は「恵利原の水穴」で

■車の場合   内宮から15分

        近鉄志摩磯部駅から10分

        ※駐車場から徒歩10分ほどかかります

■公共交通機関 JR伊勢市駅又は近鉄宇治山田駅から

        三重交通バス 御座港行又は宿浦行で25分 「天の岩戸口」下車 

        バス停から徒歩20分

          ※内宮最寄りの「浦田町」バス停からも乗車可能

        近鉄志摩磯部駅→(徒歩3分) 磯部バスセンター

        三重交通バス 伊勢市行(伊勢道路経由)で10分 

       「天の岩戸口」下車 バス停から徒歩20分

コメント