2026年4月30日、奈良県の春日大社に、藤の花を見に行きました。
花の時期は例年4月中旬から5月上旬で、見頃はGWあたりとのことでしたが、今年は開花が早かったようで、この日ご本社の「砂ずりの藤」はすでに終わり。
ただ、隣接する「万葉植物園」の「藤の園」にはたくさんの種類と本数が植えられているとのことなので、まだ見られるかもと思い、行ってみたのです。
そうしたら思った通り、中咲きや遅咲きの藤が満開!
整った藤棚の「砂ずりの藤」とは異なる自然な形の藤は、素直にのびのびと育ちながらも気品があり風情があって、感動的な美しさでした!
中咲き・遅咲きの花というと、「もう終わりの方か、止めとこう」と思いがちですが、こちらでは最終日まで楽しめそうだと確信しましたよ。
さすがに歴史ある文化都市、奈良。春日大社。感服です。
筆者は万葉集に詳しくないので、単純に藤の花を楽しむだけのつもりで伺いましたが、もちろん万葉集に思い入れのある方には、より感慨深い園だと思います。
「砂ずりの藤」とは
ご本社に4か所ある門のうちの慶賀門から入ったすぐのところにあります。
花房の長さが1m以上になり、地面にすれるほどということでこの名がつきました。
摂関家の近衛家からの献木と伝わっており、鎌倉時代(1309年頃)に作られた「春日権現験記」にも載っているため、樹齢は約700年以上だそう。
春日大社は藤原氏の氏神なので、社紋も所縁のある「下がり藤」です。
多分、見頃の時期は豊かな長い花房が見られたことと思いますが、この日はすでに見る影もなく。
でもまぁせっかく来たことだし、花の残っている所を選んでパチリ。

「万葉植物園」とは
春日大社万葉植物園は、昭和7年(1932年)に日本最古の万葉植物園として開園しました。
約3haの園内に、万葉集に詠まれた草木を中心とした約300種が、なるべく自然のまま人的な手を加えずに植えられているそうです。
正門は、春日大社一之鳥居から二之鳥居に向かう途中にあります。
ちょっといかめしくて入りにくそう…と思った方(筆者よ筆者)、大丈夫。
藤の園は向かって右の方なので、ご本社寄りなんです。
そして藤の時期は臨時に東門が開き、ご本社から藤の園に直行できるのです!(4月1日~5月15日のみ開門)

東門は春日大社駐車場の奥、緑の矢印のところにあたります。
駐車場は観光バスの後ろにも、自家用車の駐車スペースがまだ2列ずらりとありますが、平日で雨のせいもあってガラ空きでした。

万葉植物園は「万葉園」「五穀の里」「椿園」「藤の園」で構成されていて、「藤の園」はその一部なのですが、それでもかなり広くて、十分楽しめます。
入場料は700円でしたか。他所の藤園に比べて破格の金額!
下のMAPの赤い印はこの札の立っている現在地を示すもので、東門は一番上に描かれている建物になります。
あいにくの雨でしたが花の方も大丈夫、散っていませんでした。

自然な形の立ち木造りが美しい!
「藤の園」には20種類200本の藤があり、早咲きから遅咲きまであるので、一斉に咲きそろうことはなく、早咲きの開花から遅咲きが終わるまで約2週間楽しめるそうです。
東門を入ってしばらくすると、正面にこの木が見えて来ます。
藤の花というと一般的には藤棚を思い浮かべますが、こちらでは一本の木のように仕立ててあるので、花を目線の高さで見られるのが何とも新鮮。
それが伸びやかで美しくて、気品さえ感じます。
花が外向きに咲くので、常に光を浴びて美しくみえるのだそう。
一本の木としても美しい樹形になっています。お見事!

すぐそばにある立ち木造りの「白野田藤」が満開です。
目の前で豪華に咲いており、なんだか贅沢な気分になりますね。

こちらも藤棚ではなく、頭上を覆うほど背の高い立ち木造りです。
この高さから降りそそぐかのような藤も珍しい光景。
藤棚の一面の花の色とも違う、自然な美しさですよね。


この日見られた中~遅咲きの藤の種類
花房のひときわ長い、「九尺藤」です。
野田藤の系統で花房が概ね1m以上になり、中には2mにも達するものもあるそうです。
一尺約30㎝として×9なら270㎝となりますが、まあ、長いという例えですね。

下は「黒龍」という種類の藤です。
九尺も黒龍も中咲きの種類なので、この日まで持ったんですね。
よく見ると房の上の方花が終わり、これから花殻が増えていく感じです。
良かった、おかげさまで間に合いました。

ピンクの色が強い種類の「本紅藤」。こちらも中~遅咲きなので、正に今が見頃。
なんと藤を見下ろすことができるとは。

こちらもピンクの強い種類で、元々花房の短い品種の「昭和紅」です。
早咲きなので花房の数ももう少なめですが、遅咲きの「白野田藤」と同時に見られるのは珍しいのでは?


中咲きの「海老茶藤」もあったはずですが、うっかりしていて見つけられませんでした。
万葉植物園には他にも早咲きの「麝香藤」「甲比丹藤」「緋ちりめん藤」、早~中咲きの「一歳藤」等々ありますが、当然ながら今回は時期を逸しているので見られず。
また機会があったら、次は早咲きを目指してみましょうか。
園内の水辺には
園内にはところどころ池もあり、景色に変化を与えてくれます。
これは…あやめ?花菖蒲?

水辺の花は、あやめか花菖蒲かかきつばたかと悩む所ですが、標識にあやめとあって、一件落着。
「白野田藤」とのコラボもいい感じ。

別の場所に同じような葉っぱが見られたのでこちらも標識を見たところ、奥がかきつばた、手前は花菖蒲のようです。
必ず標識があるのは、さすが植物園。
藤が終わったあとはこれらが楽しませてくれそうです。

水辺や湿地にある木道も趣きを添えてくれています。

枝ぶりにも趣きが
園内を歩いていて思うのは、花はもちろん美しいですが、のびのび成長した枝ぶりもおもしろく、これも花を引き立てているような気がします。
普通の藤棚ではあまり見られない、自由な育ち方の幹というか枝というか…。
花も同じ高さではなく、思い思いの位置で咲いています。
とても風情があってすてきですよね。

通路を歩いていると、周りをぐるりと囲まれて、一瞬ジャングルに迷い込んだかと思われる所もあります。
実際はジャングルではなく、アーチに仕立ててあって、その下を通るわけですが、こんな至近距離の藤も、なかなかお目にかからないのでは。
でも決して乱雑な生え方ではなく、曲がっている枝もすっきりと見えるんですよ。

主役は花ですが賞賛は花だけじゃない
「なるべく自然のままに」というコンセプトですが、手入れは行き届いているようにお見受けします。
だってほら、下の写真は花が終わった早咲きの種類の藤棚ですが、花殻が一つも残ってません。
そのおかげで今咲いている花もすっきりと美しく見えるんじゃないでしょうか。
一般に、花殻が目立つようになると「もう終わり」と思うものですが、筆者にそう思わせなかったのはそういうことなんだと思います。
花自体の美しさだけでなく、こういうことも大切なんですね。

見頃の目安を検証してわかったこと
「藤の園」の開花期間として、4月中旬から5月初旬とされていますが、気温の変動などで前後するのはやむを得ませんね。
でも、遠くから来たのにもう終わっていたら、これほど残念なことはありません。
筆者は今回何の気なしに4月30日に伺い、たまたま見頃に間に合いましたが、これで良かったのか?
と、ふと思ったのです。
「藤の園」ではたくさんの品種・本数があって花期がずれるため、早咲きの開花から遅咲きが終わるまで約2週間楽しめるそうです。
最近は公式HPなどにその年の開花予想が発表されることが多いので、「開花予想日は」とか「開花しました」などの日付が載ったら、今後はそこから2週間以内に行けば良いということかな。
2026年の場合、HPでは4月17日に10本が見頃になったとあり、この日を基準にすると4月17日(金)から約2週間で5月1日(金)までが花期ということになります。
「来週中頃から5月初旬が見頃」ともあったので、4月22日(水)頃から5月1日(金)頃までが見頃? だったのでしょうか?
その後5月3日(日)に藤の花の終了宣言が出たんです。
筆者が行った30日は充分鑑賞に値していたので、もう少し先かと思っていました。
筆者はギリギリの日にちで、美しいとか素敵とか、楽しめていたんですね。これはびっくり。
確かにあのあと中咲きの藤の花殻処理などが必要になれば、花の姿も変わるでしょうし、その後白野田藤だけが咲いていても寂しいかもしれません。
3日がきれいに見られる限度と判断されたようです。
そんなわけで、お手入れもそうですが終了宣言もしかり。
筆者はこれがプロの仕事なんだなあと感服したのです。春日大社万葉植物園、すごい!
来年に向けてのご参考になれば。



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