三重県鈴鹿市にある椿大神社は、「つばきおおかみやしろ」と読みます。
猿田彦大神を祀る全国2千余社の総本宮と言われています。
猿田彦大神と言えば道開きの神様。ここでは「みちびきの祖神」といっておられますね。
伊勢の猿田彦神社には何度か参拝させていただきました。
その本宮となれば、ぜひとも伺わなければということで、行ってきました。
さすがに規模も大きく、伊勢の国一宮だそうです。
境内には妻神である天之宇受女命(天之鈿女命とも)もいらっしゃることで、縁結びでも有名ですが、その他にもご神徳がたくさんあって、びっくりです。
見どころもたくさんありますよ。
一の鳥居の向きは入道ヶ嶽の奥宮に向いているのでは?
駐車場に停めて参道を歩いていくと、やがて見えてきます。
あれれ、鳥居が横を向いています。
正面に見えるのは獅子堂ですね。
その前には柵で囲まれた背の高い樹木が。
そこの小さい鳥居の向きがほぼ同じではありますが…。
わざわざこの向きに鳥居を作ったということはなにか理由があるはず。
地図とにらめっこして推測しました。
一の鳥居は元々鎮座していた入道ヶ嶽の方を向いているのではないかと。
間違ったらごめんなさい。
ということで、一の鳥居をくぐって、小さなお社に向かいます。
樹齢400年と言われるモミの木に龍神が宿っており、神域全般を守ったという伝承があるそうです。
昭和55年、庚申の年に社殿が奉献されたため、庚龍神社と命名されました。
ご祭神は金龍龍神・白龍龍神・黒龍龍神。
豪華なメンバーですね。
椿大神社には他にも龍神様がいらっしゃいます。
正面に見える獅子堂は、聖武天皇の勅願により奉納された、獅子頭に由来して名付けられたとのこと。
日本最古の獅子舞が神事として残っており、丑・辰・未・戌の3年ごとに、氏子地区だけでなく北伊勢・尾張・三河まで巡舞祈祷するそうです。
平時は交通安全、車両祓いの祈祷が行なわれています。
参道を進む
椿大神社は太古の昔、神社の背後にある高山入道ヶ嶽・短山椿ヶ嶽を天然の社として猿田彦大神を祀っていました。
高山入道ヶ嶽山頂には奥の宮が、一帯には太古の磐座が点在するそうです。
訪れた時は美しい大きな音の鳴る鐘をつけた方が、山の方から下りて来られるのにすれ違いました。
健脚の方はどうぞ時間を作って行ってみて下さい。
きっと猿田彦大神のように、山頂から国土一帯が見渡せるのだと思います。
椿大神社は垂仁天皇27年(紀元前3年)、倭姫命のご神託により、麓に社殿を造営したという、日本最古の神社の一つです。
倭姫とは垂仁天皇の第4皇女で、諸国を巡幸して伊勢神宮を現在の場所に定めた方ですね。
気持ちの良い森の中を進むと、こんな木が。
めおと杉とでもいいましょうか、根元でつながっています・
さすがにご夫婦神のいらっしゃる神社ですね。
高千穂町にある天岩戸神社でも、こういうのを見ました。
樹齢が進むとこうなるんでしょうかね。
天孫が降り立ったという御船磐座。石があるだけなのにちょっと怖い!
めおと杉を過ぎたところで道が十字になります。
左に折れたすぐのところにしめ縄のかかった小さな鳥居があり、「御船磐座」とあります。
天孫瓊瓊杵尊一行の船がここに到着し、ここから高千穂に向かったと伝わっているそうです。
倭姫が社殿の地を定めたのもここを基準としているようで、重要な神代の神跡のようですよ。
鳥居が小さくしめ縄もかかっているので、入ってはいけない感じがしたのですが、よく見ると奥に賽銭箱があります。
その向こうに柵があるので、なるほどそこまでは行けるんですね。
鳥居をくぐるのが既に怖いですが、怖いもの見たさに先に進むと、柵と石で囲まれた三つの石がありました。
石が怖いのではないですよ。鳥居の内側一帯です。
私は霊能者でもなんでもないので、あまり気にしないで下さいね。
ん?オブジェでミニテーマパーク感が…
参道に戻って進むと右側には恵比寿・大黒像があります。
恵比寿様・大黒様は商売繁盛・五穀豊穣の神様ですよね。
なぜここに、と思いますが、よく考えてみれば大黒様は国つ神の大国主命と同一視されています。
恵比寿様は蛭子とも書く、古事記ではイザナギ神・イザナミ神の最初の子です。
又は大国主命の息子である事代主とも同一視されているため、国つ神つながりなのかな。
猿田彦大神も国つ神ですから。
他にも「地球玉と猿田彦大神」というオブジェがありますが、あー賽銭箱が置いてあるー(汗)。
オブジェにまでお賽銭は入れませんよー。
高山土公神陵はなんと猿田彦大神のお墓!
横の高山土公神陵は古そう。
写真を撮る向きを間違えましたが、神代から守られている、前方後円墳だそうです。
陵というのは丘、ミササギ、天皇・皇后等貴人のお墓をいいます。
「高山土公神のお墓」という意味で、土公神というのは猿田彦大神の別名。
神様も死ぬんですか!?とびっくりですよね。
実はイザナミ神だって亡くなってるんですよ。
他にも古事記の中では、何柱かの神様が亡くなってます。
更に参道の分岐を右に行くと、妻神天之宇受女命を祀る椿岸神社に行き着きます。
こちらの鳥居はまだ赤くありません。この先に赤い鳥居が見えていますね。
本当はこちらの正面から伺いたいのですが、また後ほど。
参道を進んで、ようやく椿大神社の拝殿が見えてきました。
猿田彦大神の多くの別名と、多くのご利益
天照大御神の孫=天孫瓊瓊杵尊の降臨の際に、分かれ道である天の八衢に猿田彦大神が出迎え、高千穂の峰に先導したことで「道別の神」「道別大明神」と呼ばれます。
これが「みちびきの祖神」と言われる所以で、一番有名ですよね。
新しいことを始める時や交通安全の祈願に参拝されます。
猿田彦大神はたくさんの別名があって、先程の「土公神」の他にも「興玉神」「大土御祖神」「衢の神」「椿大明神」「大行事権現」「道祖の神」等々、16~17もの名があるんです。
そういえば、二見興玉神社のご祭神も猿田彦大神ですよね。
「神々の玉を奮い興すみちびきの神」として先達・延命長寿・縁結び・安産等のご利益があるそうです。
「大土御祖神」は字の通りで、国土保全・豊穣にゆかりのある地主神、地祇の祖神とされています。
そのため、土地・家屋・国土保全と豊穣の守護、方災解除のご利益も。
方災とは、いわゆる方角が悪くて起こる災難のことで、九星からきているものです。
年ごとに方位の吉凶を言うでしょう。あれです。
凶方位に転勤とか、八方ふさがりの年回りに当たる方等が参拝にいらっしゃるようです。
「道祖の神」はいわゆる路傍の道祖神とは異なるものらしいですが、どちらも家内安全・無病息災・交通安全の守り神であるため、混同・同一視されたりするようです。
参道入口の獅子堂前に、お祓いのための自動車がたくさんありましたね。
納得です。
伊勢の猿田彦神社については【伊勢】猿田彦神社と猿田彦大神について を読んで下さい。
御祈祷について
祈祷参拝者は、まず祓殿で神職に大祓詞を奏上してもらい、お祓いをしてから内拝殿に進み祈祷を受けます。
内拝殿のあたりに「金龍明神滝」があるのですが、この滝は御祈祷を受けた方しか見られません。
その水は万病に効くと言われているそうです。
神前では祝詞を奏上して祈願成就を祈って頂き、鈴でお祓いしてもらいます。
頂いた御札は持ち帰って神棚に祀って下さい。
予約不要で、当日朝8時から夕方5時までに、社務所に申し込めばよいそうです。
3,000円~お志でとのこと。
初宮詣で、車のお祓いは5,000円~お志で。
紅白の椿が見頃で良い感じ
狙って行ったわけではありませんが、ちょうど椿が咲く時期でした。
小ぶりの花が咲く紅椿は大きな木になっています。
白椿はふくよかな、八重です。どちらも美しい。
宮域全体では紅椿が多くありました。
境内には若い方や年配の方など、多くのカップルが見られましたよ。
とはいえ平日の午後なので、混雑はありませんでした。
美しい椿の花のせいか、幸せそうなカップルの影響か、参道を戻る途中、ふんわりと嬉しい気分になりました。
良い気が流れている感じがしますね。
いつまでも居たい、立ち去りがたい気分でした。
多くのご利益があるのでおみくじ・お守りの種類もたくさん
多くの名前とご神徳があるためか、おみくじもお守りもたくさんの種類があります。
3月の初めと終わり、2回来ているのでおみくじも2回ひきました。中吉と大吉。
他にもいろいろな種類のおみくじがあります。
お守りは絞れずに、3つも買ってしまいました。
白い八角形のものが道開きのお守りです。裏側は方位盤の模様です。
くぼさ守りは金運のお守り。
商売繁盛の祝詞の中に「美しき利益」とあるそうです。
素直で正直な心を持って精励すれば金運に恵まれるよう、祈願してあるとのこと。
赤い「かなえ守」は諸願成就。
付いている紙に願い事を書いて、後ろの小さなポケットに入れておくと叶うというものです。
椿の模様の入った、赤と黒の守り袋がすてきです。
他にも交通安全・恋愛成就・夫婦円満などのお守りや恋みくじもありますので、気になるものをどうぞ。
霊験あらたか、1週間後のできごと
実は介護職の再就職先を求めて、いくつか面接に行っていました。
年齢もあり、好き勝手を言わせてもらっているので、なかなかぴったりのところはありません。
譲歩して、お試し勤務をしてみることになった先に向かいながら、ふと(あそこはどうなったろう)と考えた時です。
なんというタイミングでしょうか。ちょっとびっくり。
だいぶ前に、是非にと希望していた先から、連絡が入りました。決定です。
これは八角形のお守りのご利益か?なんて。
また、お礼参りに伺わなければね。
妻神の天宇受女命をお祀りした椿岸神社と、境内の他のお社については次のページで紹介します。
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