先日朝市で買ってきた、たくさんの野菜を調理しました。
かぶの葉っぱやにんじんの葉っぱの料理については、既に紹介しましたが、他にも出てしまう野菜くず。
調理の際に、根菜の皮を剥く方は多いと思います。食感が悪いのと、雑味のもとですもんね。
でも、例えば皮に栄養が豊富なんだというのを、聞いたことはありませんか。
繊細な味を求めるのであれば否定はしませんが、私のような昔人間は、そもそも根菜の皮は剥かずに調理することが多いです。
あっ、風呂吹き大根やおでんの大根などは別ですよ。(むしろ厚めに剥きます)
昨今しきりに言われるようになったSDGsや、以前から言われていたロハス。
難しいことはできませんが、健康的な生活・地球環境の保護・持続可能な生活スタイル、のうちの一つ。これならできそう。
きのこの石づきや、野菜のヘタなども、捨てないで下さいね。
全部、美味しくいただきましょう。
そもそも根菜の皮はなるべく剥かない
大根やにんじんの千切りは、大根なら薄い輪切り、にんじんは薄い斜め切りにしてから千切りにすれば、皮がそんなに気になりません。
ごぼうは土付きを買いますが、たわしでゴシゴシやると皮がむけてしまいますので、ほどほどに。
手で土を洗い落とし、アルミホイルをクシャクシャにしてなでる程度で、ちょうど良いかも。
大根・にんじん・ごぼう・れんこん等、全部皮つきで乱切りにし、煮しめや炒め煮にします。
特にごぼうは風味が良いです。
けんちん汁や豚汁はもちろん、カレーもシチューもこれ式です。
さつま芋も普通に皮付きで煮るし、焼き芋の皮だって食べられます。
玉ねぎやじゃが芋を皮付きのまま2ツ割にして、鶏肉の横に並べてローストしてみて下さい。
玉ねぎの皮は風味付けだけですが、じゃが芋は皮もいけます。
風味も見た目も豪華になるので、クリスマスディナーにもできますよ。
ただしじゃが芋の皮は、あまり食べ過ぎないように。
微量ですがソラニンという毒の成分がありますので。
でも、新じゃがの皮つきの甘辛煮、美味しいですよね。
葉菜の根元は切り落さない
ほうれん草はなるべく根元の赤いものを選びましょう。そして、切り落さないこと。
赤い色は希少ミネラルです。
昔のものは根元がしっかり赤かったのですが、最近は品種も変わってきたりして、赤いものも少なくなりました
小松菜もそうですが、根元ごと食べるためには、洗い方があります。
株元に十字の切り込みを深めに入れて、水を溜めた洗い桶の中でザバザバと振るう感じに洗うと、入り込んでいる泥が落ちます。
キャベツの芯や大根の根元は、買ってきてすぐに切落した方が日持ちします。
切り落とした方も保存して使います。
ファイトケミカル⇒ポリフェノールやリコピン・アントシアニン等もそう
植物には、ファイトケミカルと言う、栄養素以外の成分でありながら、体にとって良い作用をすると言われる成分があることがわかっています。
植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから身を守るために作り出された、色素や香り、辛味、えぐみ、ねばねばなどの成分のことです。
ポリフェノールやβカロテンもその一つ。リコピンやルテイン、アントシアニンもそうです。
体内で強い抗酸化物質として作用するものが多いので、第7の栄養素として注目されています。
植物が身を守るためのものなので、皮周辺に多いのですね。
加熱することで細胞外に溶け出します。ビタミンCなどは壊れますが、その他の成分を摂るにはジュースより効果的なんです。
そのままで食べられない部分はベジブロスに
最初の写真の野菜くずを、ベジブロスにしてしまいました。
ベジブロスの直訳は「野菜のだし」。
スープやシチュー・カレー、味噌汁などに重宝します。
これに炭酸を加えて、ドリンクとしても飲めますよ。何と言いますかね、ノンアルコールビールに近いかも。
ベジブロスの作り方自体はとっても簡単。
鍋に1リットルくらいの水と、両手一杯くらいの野菜くずを入れて、弱火で20~30分煮るだけです。
あくは取りません。
先ほど書いたように、あく・えぐみはファイトケミカルです。
グラグラ煮立てなければ、あくもそんなには出ないですし、そのための弱火です。
玉ねぎの皮などが浮き上がってしまわないように、落し蓋をしても良いです。
ざるとふきん等で漉して、びん等に入れて冷蔵庫で保存してください。1週間保存可能ですが、いつもその前になくなります。
向いている野菜は、セロリ・パセリ・にんじん・玉ねぎ等のおなじみの香味野菜や、大根・長ねぎ、さやえんどうのスジ、かぼちゃのワタ、とうもろこしの皮やひげ等、たくさんあります。
ただ、ブロッコリーやキャベツ等、アブラナ科のものは独特の風味があり、入れ過ぎると全体が支配されてしまって、あまりよろしくありません。
れんこん・ごぼうもそうですね。少量に留めて下さい。
ほうれん草にはシュウ酸が多いので、わざわざベジブロスには加えない方が良いです。
ゆでると、ゆで汁に溶け出していきますので、ほうれん草のゆで汁は捨てましょう。
先程の芋類の皮やブロッコリー、キャベツ、たけのこにも多いです。
シュウ酸は尿路結石などのもとなんですよ。
シュウ酸はカルシウムと結びついて排出されますが、ただでさえ吸収しにくいカルシウムを、シュウ酸の排出のために使うのはもったいない。
同じ理由でほうれん草やブロッコリーなどは、レンジでチンより、ゆでた方が健康のためです。
ブーケガルニでも良い
フランス料理で使う、香草類を束ねたものです。肉料理や魚料理の臭みを消したり、風味づけに用いられます。
パセリの茎、セロリの葉柄、ローレルやタイム、ローズマリー、セイジ等、料理に合わせて何種類かをブーケのように束にして一緒に煮込みます。
写真はにんじんの茎をメインに作りました。
上はローレルとにんじんの茎、パセリの茎、ローズマリー。下はローレル、にんじんの茎、パセリの茎、オレガノをタコひもで縛りました。
タコひもがなければ、お茶パックやだしパックに入れても良いです。
料理が完成したら、取り出します。
注意!何でも食べて良いわけではない
さんざん食べ尽くそうと言って、最後にナンですが、ちょっと知っておいていただきたいことが。
ファイトケミカルというのは、「植物性化学物質」と直訳されます。植物中に存在する、毒物を含めたすべての化合物のことです。
例えばトマトやなす等、すべてのなす科植物には、実は弱いですが毒性があるんです。
でも、とても美味しいし、何百年も食べられてきて注意を促されたことがないという事実もあります。
植物が身を守るための成分ということは、昆虫等にとっては毒物でもある訳です。
ほとんどの果物のタネにも、毒性があります。
植物にとっては、鳥や動物が果実を食べて種を蒔いてくれるのですが、種まで美味しく消化されてしまっては子孫が残せないからですね。
ただ、これらは通常の食べ方なら、人間に害はありません。人間の解毒能力って、有難いですね。
りんごの芯もトマトやなすのヘタも、ピーマンのヘタやタネも、ベジブロスに入れて大丈夫です。
私も長年加えていますが、健康被害はありません。
要注意なのは健康野菜として有名なモロヘイヤです。
硬くなった茎や、花が咲いた後の完熟種子やさやに、猛毒があるそうです。
モロヘイヤの袋に、「葉だけを摘んで」みたいに書いてあるのは念のためでしょうね。
スーパーで売っているものは、農家さんが理解した上で収穫しているので無害ですが、心配なのは家庭菜園のものです。
収穫期を迎える前の若葉や、実をつけてしまったものを収穫した時の、さや・種子・茎は猛毒があるそうなので注意してくださいね。
あとは、これも家庭菜園の、野菜のタネです。
市販のタネの袋には必ず「このタネを食用や飼料にしないで下さい」と書いてあります。
要は完熟種子は何でも危険と思った方が良いのかもしれません。
家庭菜園で余っても、ベジブロスに入れないで下さい。
野菜くずの利用法まとめ
いかがでしたか。
剥いた皮を使ってもう1品という手もありますし、それは臨機応変に有効活用しましょう。
●そもそも丸ごと一緒に食べてしまえば美味しい。野菜くずも少ない。
●そのままで食べられない部分は、ベジブロスかブーケガルニに。
●モロヘイヤと野菜の完熟種子は取り扱い注意!
体にも、お財布にも優しいのは嬉しいですね。
コメント