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認知症になるとどんな感じ…?|想像したことはありますか

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認知症と聞くとあなたは何を思い浮かべますか?

物忘れがひどくなる病気?コミュニケーションが難しい?

色々なイメージがあると思います。

でも実際に認知症になると、どんな感じなんでしょう。

少しでも認知症の人の気持ちがわかると、これからの介護に活かせるのではないでしょうか。

認知症の人は「何もわからない」のではないのです。

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認知症を疑似体験してみましょう

例えば何かのミーティングをしていると想像してください。

あなたは真面目に皆さんの話を聞いており、ちゃんとノートも取っています。

他の参加者もそうしています。

10分の休憩があった後に再開され、皆も席に戻りました。

すると司会者が「先程のケーキは美味しかったですね。」と言って、あなたに「いちごのケーキはどうでしたか?」と聞いてきました。

あなたは食べていません。他の人はいつの間に食べたのでしょうか。

不審に思ってそのことを言うと、司会者は怪訝そうに

「前の時間の最後に皆さんにお出ししたじゃありませんか。ほら、あなたはいちごがいいっておっしゃって。コーヒーか紅茶かどちらにするか伺ったら…。」

と大真面目に、やけに詳しい話をしてきます。

あなたはどう思いましたか。

(何を言ってるのこの人。ちょっとおかしくない?)などと思いますよね。

あなたにとっては、司会者の方が突然変な話を始めたのであって、ケーキも紅茶も(何のこと??)でしょう。

ちょっとしたミステリー、何かの陰謀?と不安になりませんか。

これが「あなたが認知症を発症した場合」の状況です。

実はこれ、介護士の資格を取る時に最初に受けた講義で、実際の体験です。

私の拙い文章では臨場感が伝わらないかもしれませんが、ケーキの話が始まると、教室に緊張が走りました。

もちろん受講者全員、ケーキなんか食べていません。

タネあかし後、受講者一同はその意図が分かってホッとしました。同時に認知症の人の、気持ちの一端を理解したと思います。

正常老化と認知症の違い

誰でも年齢を重ねると、人や物の名前がすぐに出て来なくなったりしますね。

こういった「もの忘れ」は、脳の生理的な老化によるものです。(正常老化)

体験したことの一部分を忘れますが、ヒントがあれば思い出すことができます。

あまり進行せず、自分が忘れっぽいことを自覚しています。

それに対して認知症は、脳の神経細胞が病的に壊れることによって起こります。

先程のケーキの話のように、体験したこと自体を忘れ、ヒントがあっても思い出せません。

思い出すも何も、認知症の方にとっては、「体験していないこと」なんですから。

忘れたという自覚がなく、日常生活に支障が出始めます。

そして徐々に進行して行きます。

昨晩のおかずが何だったか思い出せないのは「もの忘れ」、ご飯を食べたこと自体を忘れるのが「認知症」と言って良いです。

健常な人と認知症の中間にある、軽度認知障害(MCI)という状態は、認知機能に多少の問題が生じているが日常生活には支障がない、というのが特徴です。

この段階で早期に対策を行なうことで、回復したり健常に戻ることも可能です。

MCIについては別記事にまとめます。

【MCI】認知症とは異なる、軽度認知機能障害の時期 ←こちらです。

認知症の症状

認知症の症状には、大きく分けて次のようなものがあります。

中核症状(基本的な症状)

記憶障害

    認知症の最も代表的な症状。

    特にアルツハイマーの初期症状として顕著です。

    脳内で記憶をつかさどる海馬が委縮するために、まず短期記憶(数分前とか、数日前とか)

    が損なわれますが、何十年も昔のことは覚えている、といったようなことが起こります。

見当識障害

    場所・時間・人物がわからなくなる。

    これらと自分との関係を理解し、見当をつける能力が低下します。

    自宅が自宅とわからなかったり、今が昼か夜か、自分の娘を見てもわからなかったりします。

高次脳機能障害(失語・失認・失行)

    目耳手足等の機能自体は問題がないのに、脳の障害のために、言葉が出て来ない・「あれ・そ

    れ」が増える・読み書きができない・見えていても「食べ物」とわからない等

実行機能障害

    前頭葉の機能低下により、行動の段取りができなくなる・同時に複数のことができなくなる・

    料理ができなくなる・服を着る順番がわからず上着の上に下着を着けたりということが見られ

    ます。

●社会脳障害

    相手の気持ちを理解する能力の低下・感情コントロールができなくなる・すぐ怒る・少しの時

    間も待てない等が見られます。

●注意障害

    車の運転が危険になったり、ぼーっとするようになったりします。

中核症状は、脳がダメージを受けたことで起きるため(脳の萎縮や事故による損傷等)、残念ながら治すことは困難と言われています。

行動・心理症状(BPSD)

生い立ちや性格・職歴などの個人因子や、住環境・対応の仕方等の環境因子の影響を強く受ける症状で、周辺症状とも呼ばれます。

中核症状とは区別されます。

不安や混乱の表われで、必ずしも全員に起こるものではありません。

観察してわかるものが行動症状(暴言・暴力等の攻撃性、喚声、不穏、徘徊、異食、ろう便等)です。

喚声は時と場所に関係なく叫び声を上げる、ろう便は排泄物をこね回すこと、排泄に失敗した下着をたんすに隠す等が見られます。

本人や家族の訴えでわかるものが心理症状(不安・抑うつ・幻覚・妄想等)です。

これらの行動・心理症状は、たとえ現われても環境や対応の仕方を適切に変えることで、改善される可能性があります。

反対に適切な対応ができないと、ひどくなる傾向もあるので、介護者にとっては中核症状よりも大きな負担になることがあります。

認知症の人は「何もわからなくなった人」ではありません。

本人は周囲と話がかみ合わなくなったり、今までできていたことができなくなったことで、うろたえているのです。

誤解もされるし、混乱もするし、不安になったり怖くなったり。

「何かおかしい」とはわかっているんです。

自己防衛のために攻撃だってするでしょう。誰よりも悩んだり苦しんだりしているはずです。

対応のポイント

認知症の人への対応は、

●驚かせない

●急かさない

●自尊心を傷つけない・否定しない

ことが大切です。

自分の気持ちや考えをうまく表現できない認知症の人の気持ちを、介護者が汲み取って、本人の意向に沿い、尊厳を傷つけないようにケアすることが大切になります。

認知症は治すことは困難でも残存能力はあり、回復力もあることから、残された能力を活かして穏やかに生活できるように支援することが最重点事項となります。

在宅ケアの場合

認知症の人も、住み慣れた地域で暮らしたいという思いは健常の人と変わりません。

周りの人の理解や少しの手助けで、在宅生活が継続できることはあります。

これまでの立派だった時期を知っておられる分、他人である施設職員より、自然に気持ちを汲み取りやすいということもあります。

認知症のBPSDについて「手に余る、どうしてよいかわからない」という場合には、いうことを聞いてもらおうとすることをあきらめましょうよ。

無理やりに着替えなくても良い、無理に入浴しなくても良い、といったほどほどの介護が本人も介護する家族も楽になります。

「こうしなくてはならない」とこだわる必要はありません。

本人の嫌がることをしなければ、双方のストレスがなくなり、BPSDも減らせるでしょう。

家族会への参加や認知症カフェ(オレンジカフェ)での交流も有効です。

介護する家族の精神的・肉体的疲労の蓄積に関してはケアマネージャーに相談し、ショートステイを利用する等の調整をしてもらっても良いですね。

過度の負担になりませんように。

認知症の困った行動について、想像力を駆使してみたら 良かったらこちらも読んで下さい

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