10年程前の6月に伊勢神宮の外宮を訪れた時、勾玉池に花しょうぶが咲いていました。
早朝だったので門がまだ開いておらず、池には近づけなかったのですが、柱の陰にちらりと見えた美しさが忘れられませんでした。
調べてみると、三重県は花しょうぶと縁が深いんですね。県花も花しょうぶだそうです。
それではと同じ季節に訪れたところ、6月はあじさいの季節でもあり、今回は伊勢志摩各地の花めぐりの旅となりました。
斎宮のノハナショウブに歴史のロマンが
津・松阪方面から伊勢市内に入る手前の明和町に斎宮という字名のところがあります。
斎宮とは、古代から中世にわたって伊勢神宮に仕えた斎王の宮殿、又は斎王自身のことです。
斎王は未婚の皇女から選ばれ、天照大神のご神体を身に託されて、神の言葉を取り次いだ方。
斎宮は都(大和)と伊勢を結ぶ伊勢街道の途上にあり、137haに及ぶ碁盤の目状の区画に500人もの人々が仕えた、壮大な御所でもあり役所でもあったのです。
斎宮制度は南北朝時代の初めに途絶しましたが、さすがに歴史的・文化的に重要な所だったので、長く地名に残ったんですね。
「幻の宮」とされてきた斎宮ですが、昭和45年の事前発掘調査により、まさしくこの地で遺構が見つかりました。
跡地は国の史跡に指定されています。
斎宮の花しょうぶ群落
周辺は一面の田んぼなので、ここで良いのかと心配でしたが、ありました、ありました。
紫ののぼりも立っています。
写真左奥に数台停められる駐車場があります。


いい色!そしてなんだかとってもシンプル、清楚。
外宮で見たのとちょっと違うのでは?
それもそのはず、これは「ノハナショウブ」といって、花しょうぶの原種ですって。
これを改良して、江戸系・肥後系・伊勢系といった、あでやかな花しょうぶになったのだそう。
自生するのは多くが山中の湿原で、このような平野での自生は珍しいそうで、昭和11年(1936年)に国の天然記念物に指定されました。
自生と聞いてびっくり。
なんとか絶えないでいて欲しいものですね。
このあたりは明治期までは一面の湿原だったとかで、今は3,000株あるのだそうです。
そうそう、三重県の県花は花しょうぶで、明和町の町花がこの「野花しょうぶ」だそうですよ。
斎宮の花しょうぶ群落 三重県多気郡明和町大字斎宮蛭ノ沢1817
花しょうぶの見頃 5月下旬~6月上旬
お問い合わせ 明和町役場斎宮跡・文化観光課 0596-52-7138
アクセス 近鉄山田線「斎宮駅」から車で15分
伊勢自動車道「玉城IC」から車で30分
斎宮跡歴史ロマン広場
近鉄山田線の「斎宮駅」北側には、「いつきのみや歴史体験館」や「さいくう平安の杜」「斎宮歴史博物館」等があります。
そして「いつきのみや歴史体験館」前にある広い「斎宮跡歴史ロマン広場」には、11,000株のノハナショウブが植えられているんです。
しょうぶ園は、いつきのみや歴史体験館の右奥にも、広がっています。



すぐ横の「さいくう平安の杜」には、発掘調査で発見された位置そのままに、平安時代前期(9世紀)の復元建物が3棟(正殿・東脇殿・西脇殿)建っています。
斎宮には総勢500人程の人たちが身の回りのお世話や執務で詰めていて、斎王も十二単を着て雅やかな生活をされていたのだそうですよ。
きっとノハナショウブが、文字通り花を添えていたに違いありません。
華やかというよりは、凛々しいと言っても良いかもしれませんね。
「いつきのみや歴史体験館」は、さまざまな平安時代の生活を体験できる施設です。
蹴鞠ができたり、菖蒲飾りを作ったり、十二単や直衣等の平安装束の試着体験などもできます。
筆者が最初に訪れた時はコロナ禍の時期で、体験はすべて中止でした。
一度体験してみたかった十二単の試着は、いつの間にかかなり値上がりしていて、コロナ禍は収まったものの個人的にいまだ見送りとなっています(涙)。
ただ十二単の一部である小袿の試着は無料だったり、葱華輦という華麗な輿に無料で乗れたりするので、そちらはおすすめ。
毎年6月には「斎王まつり」も開催されます。
斎宮跡歴史ロマン広場 三重県多気郡明和町大字斎宮
花しょうぶの見頃 5月下旬~6月上旬
お問い合わせ いつきのみや歴史体験館 0596-52-3890
アクセス 近鉄山田線「斎宮駅」から徒歩5分
伊勢自動車道「玉城IC」から車で20分
エレガントな勾玉池の花しょうぶ
さて最初にあこがれた、外宮の勾玉池。
この池は明治22年(1889年)に造られた人工池で、約14,000株の花しょうぶが咲くそうです。
かつてはいつでも一周ぐるりと回れたようですが、平成24年(2012年)にせんぐう館ができてからは、不可能になってしまいました。
ちなみにしょうぶ園に入れるのは、せんぐう館の開館に合わせて、午前9時からです。
10年前はそれを知らずに、外宮内宮の順に回ろうとして早めに来たのですが、開いていなかったという訳。
せんぐう館の入館時間は午前9時から午後4時まで(観覧は午後4時分まで)。
しょうぶ園だけなら無料です。
せんぐう館には実物大の正殿の模型があったりして、ちょっと感動。
それだけでも見る価値あるので、そちらもぜひ。


池をバックにすると、花しょうぶの美しさがひときわ感じられますね。
色も形も美しいです。
品のある優美さだなあと思わせてくれます。
外宮勾玉池 三重県伊勢市豊川町
花しょうぶの見頃 5月下旬~6月下旬
お問い合わせ 神宮司庁 0596-24-1111
アクセス JR・近鉄「伊勢市駅」から徒歩10分 「宇治山田駅」から徒歩15分
伊勢自動車道「伊勢西IC」から車で5分
二見しょうぶロマンの森
外宮・内宮からも近い、伊勢市二見町にあります。車なら内宮から約15分。
夫婦岩で有名な二見浦から鳥羽方面に向かうと「民話の駅蘇民」という、小さな道の駅?があり、その裏手に花しょうぶや蓮の花の咲く園があるのです。
道の駅の駐車場に停めさせていただいて、裏手に向かうとまず迎えてくれるのは蓮池です。
花しょうぶとは花期がずれるので、まだ葉っぱだけでしたが、恐らく7月初旬からはたくさんの蓮の花が見られるのではないでしょうか。
楽しみが何度かあって良いですね。
花しょうぶは、1.1haの湿地になんと約40,000株があるそうです。
場所によって肥後系・江戸系・伊勢系等の分類がされており、案内板にその位置や品種の名前が書いてあります。
米国系やその他、アヤメやカキツバタまであるそうですが、いざその場に行っても筆者にはさっぱり区別がつきません(汗)。
単純に、きれいだなあ、で勘弁してくださいませ。



花しょうぶ園の周囲の水路に沿って、たくさんのあじさいも植わっており、こちらも種類がいろいろです。


二見しょうぶロマンの森 三重県伊勢市二見町松下1335
花しょうぶの見頃 5月下旬~6月上旬
あじさいの見頃 5月下旬~6月中旬
お問い合わせ 民話の駅蘇民 0596-44-1000
アクセス JR松下駅から徒歩7分
伊勢自動車道「伊勢IC」から伊勢二見鳥羽ライン経由15分
横山展望台付近は自然がいっぱい
さて、志摩市に入りました。
伊勢志摩というと海のイメージが強いのですが、横山展望台は山!
横山展望台に上る手前にビジターセンターがあります。
ここでは、周辺の自然情報—鳥や昆虫や樹木、遊歩道等の情報を教えてもらえます。
自然が好きな方なら、いろいろ見どころがありますよ。
なにしろ伊勢志摩は、まるごと国立公園なんですから、すごい。
訪れた時は、ビジターセンターの道沿いに続くあじさいが見頃でした。
駐車場の入り口にもあるし、道をはさんだ向かい側にもずーっとあります。

なんてカラフルなんでしょう。

そして駐車場と休憩所の先にしょうぶ園があるのをご存知でしたか?
気持ちの良い遊歩道を進むと、左側に見えてきます。

数はやや少なめですが、花しょうぶって独特の存在感がありますね。
時間がゆっくり流れそう。
しょうぶ園のところからも、歩いて第二展望台(みはらし展望台)に登れます。
3月末~4月初旬頃には桜の園も楽しめそうですよ。

ビジターセンターと駐車場の間の坂道を上ればすぐに第一展望台に着きます。
横山には展望台だけでもいくつかあるし、おしゃれな天空カフェテラスもできました。
山や森を満喫した後に、展望台から特徴的な海の景色が見られるのも良いですね。

展望台から木製スロープを通って降りる時に、ねむの木の花が咲いていました。
筆者の地元ではあまり見られない花なので、ひとりで珍しがることしきり。
横山ビジターセンター 三重県志摩市阿児町鵜方875-24
あじさいの見頃 6月初旬~中旬
花しょうぶの見頃 6月初旬~中旬
お問い合わせ 0599-44-0567
9:00~16:30
休館日 火曜日(祝日の場合は翌日)
アクセス 近鉄「鵜方駅」からタクシー5分
伊勢自動車道・第二伊勢道路経由「白木IC」から26分
志摩のあじさい寺と言えば大慈寺です
あじさいと言えば、志摩市大王町、大王崎灯台近くに有名な、臨済宗の大慈寺があります。
お寺の駐車場もありますが、筆者は灯台近くの有料駐車場に停め、徒歩数分で。
石の門から中に入らせていただくと、すぐにあじさいの庭園でした。
どこか洋風の雰囲気も感じられて、見とれながら奥へ。
様々な色や形のあじさいが所狭しと育てられています。


木製の門の内側には、あじさいだけでなく色とりどりの花が咲き揃い、まさに花のお寺です。
赤いのぼりの下にお地蔵さんが何体かいらっしゃるのですが、あじさいと花しょうぶに埋もれています。
なんてカラフルな境内なんでしょう。楽しくなってしまいますね。

門の前の崖はこのとおり、あじさいの壁がそびえています。

初めて伺ったのはこちらも10年前になります。
雨の日だったので、あじさいが生き生きしてました。
なんという美しさだったでしょう。感動ものでしたよ。
あの時はアクシデントで写真が全く撮れず、今も当時見た程の美しさには撮れていません。
まあ、それだからこそ余計に脳裏に焼き付いているのかもしれませんが。
それでも何年かすると、また見たくなるのですよ。
この道を奥に進むとさらに、小高い丘の上のあじさい園にたどり着きます。
そこにもまた見事なあじさいが一面に植えられているんです。
今も見事なんですが、まだまだ増やされる予定のよう。

丘の上のあじさい園から見下ろすと、先程のあじさいの壁が見え、向こうの方には海も見えます。
振り返った背中側もすぐに海で、あじさい園を海側に降りると灯台もすぐ近くです。
海沿いを行くと、一周して車を停めた駐車場に戻れました。
花だけでなく、海沿いの景色もなかなか良いです。昔は絵描きの町として有名だったのもわかる気がしますね。
その昔、一度は来てみたかった所です。

法雨山大慈寺 三重県志摩市大王町波切409
あじさいの見頃 5月下旬~6月中旬
お問い合わせ 0599-72-0089
アクセス 近鉄「鵜方駅」よりバスで御座方面行「大王崎灯台」下車 徒歩20分
伊勢より伊勢道路・R167・260経由50分
まとめ
筆者の大好きな伊勢志摩の花めぐりをご紹介しました。
伊勢志摩の6月は、晴れていれば海もキラキラと輝き、花しょうぶやあじさいが見頃となって筆者の一番好きな季節です。
花めぐりだけではなく、伊勢志摩の歴史や文化にも触れることができ、興味が深まるのも楽しいことです。
それぞれの場所の見頃は以下のようになっています。
斎宮花しょうぶ群落 花しょうぶ 5月下旬~6月上旬
斎宮跡歴史ロマン広場 花しょうぶ5月下旬~6月上旬
外宮勾玉池 花しょうぶ 5月下旬~6月下旬
二見しょうぶロマンの森 花しょうぶ 5月下旬~6月上旬
あじさい 5月下旬~6月中旬
創造の森横山 あじさい 6月初旬~6月中旬
花しょうぶ 6月初旬~6月中旬
大慈寺 あじさい 5が多雨下旬~6月中旬
伊勢志摩は風景も人も穏やかで、美しい良いところなので、ぜひ訪れてみて下さい。



コメント